5月26日(日)、宮古市レクリエーション協会の坂下真紀子さん、遠藤節子さん、伊藤和子さんが河南仮設住宅を訪れました。宮古市レク協会は、震災直後の4月から避難所での支援活動を始め、その後も毎月市内の仮設住宅での活動を続けています。

　朝9時半を過ぎると、仮設住宅の棟ごとに住民のみなさんが外に出て、おしゃべりを楽しんでいました。その一つのグループが歩いて集会所の前にさしかかった時、坂下さんが「今日はどちらにお出かけですか」と声をかけると、「これに来たんだ」と返事が返ってきました。毎月違う仮設住宅を訪れているため、河南仮設住宅に来るのは数ヶ月ぶりでした。しかし、この活動を待っている方も少なくなく、この日は16人が集まりました。集会所で軽い運動をするには十分な人数です。

　集会所には5月ということもあり、こいのぼりが飾られていました。遠藤さんが、さっそく、こいのぼりの歌をリード。「屋根より高い」と「いらかの波と」で始まる2曲のこいのぼりを歌って、ウォーミングアップをしました。

　前半は、歌にあわせて身体を動かします。最初は座ったままで、天地真理の歌に合わせて背筋を伸ばしたり、腕を伸ばしたり。高原列車の歌では手拍子をしながら腕を上下、左右に動かし、二人組の手遊びもしました。手遊びの流れで、「せっせっせーのよいよいよい」の手遊びも始まりました。今の子どもたちは「せっせっせーのミソラーメン」で始まり、「忍法使って空とんで、東京タワーにぶつかって」など歌い、歌詞が変わっているそうです。最近も「東京タワー」は「スカイツリー」に変わり、「口伝えだから変わっていく」という坂下さんのお話に感心し、そして実際にやってみると、「忍法使って空飛んで」を「忍法忍術空飛んで」と間違え、「本当に変わっていくんだ」と笑いあっていました。
　宮古市レク協会のみなさんのリードはわかりやすく、体操をするような感覚で主な身体の動きを体験し、そのあと歌に合わせていきます。サンバ調の曲に合わせてステップを踏んだり、足腰を使う運動にも挑戦しました。「いい運動だね」と話すみなさん。「年に何回かしかこないけど、来るのをいつも楽しみにしている」と話してくれる方もいました。

　後半はビーンズバッグを的に投げ合うバッゴーを楽しみました。一通り練習をしたあと、2チームに分かれて対戦です。的となるボードの上にバッグが乗るように投げ、さらにボードの穴にバッグを落としていきます。「輪投げは投げたら終わりだけど、こっちは楽しい」と、みなさん夢中になってきました。

　「やっぱし、意地になるもんだ」、「今度は、ガンバレ！」とかけ声も大きくなってきます。ゲームが終わったあとも、「入るまでだ！」と何度も投げていました。そんな時も、一投ごとに声がかかり、拍手が起きます。

　始まる前、休憩の時、終了後と、できる限りみなさんとのお話も楽しんでいます。そんな時、「歌っていったり、体操したり、いろいろな支援活動がくるけど、それで帰るだけ。一方通行。仮設に入って2年経って、これからどうなるかわからないけど、溜まったものを出したい」と話す方がいました。「この先どのくらい仮設にいるのか」、「このまま仮設で（人生が）終わるのではと考えるのが辛い」という本音も引き出されます。「みんな話したい。つじつまなんか合わなくても聞いてほしいんだ」という方も。支援活動では身体を動かすことだけでなく、こうしたコミュニケーションが大切なことを改めて教えてくれました。

　坂下さんは、「ここに来てくれる方は基本的に前向きな人たち。でも、こうして深いところの気持ちが、ふと出てくる」と言い、「私たちは、一瞬でもそうした気持ちを忘れて、楽しんでもらえるように活動を続けていきたい」と話してくれました。