しちがはまレクリエーション協会は、震災の２週間後から七ヶ浜町内の避難所での支援活動を始め、その後も町内３カ所の仮設住宅の支援を続けています。その一つ、湊浜２丁目地区応急仮設住宅は小規模（17戸10世帯）の仮設住宅ですが、毎週土曜日の支援活動が続いています。


　４月21日（土）、10時近くになると、住民の皆さんが集会所に集まってきました。この仮設住宅には菖蒲田浜近くで暮らしていた方たちが入居しており、その時の近所付き合いの続きで、他の仮設住宅から参加する方もいます。用事があって参加できない方も、顔を見せて、言葉をかけ合っていきます。


　しちがはまレク協会の当番は舘岡百合子さん、星七代さん、照井アヤ子さん。最初は「みんなの体操」で、身体をほぐしていきました。５分くらいの体操ですが、みなさん「身体が温かくなってきた」と部屋の暖房を切りました。次は、玄米を詰めた布袋をダンベル代わりにした体操です。みんなで声を出しながら軽い筋力トレーニングをします。７つくらいの筋トレが終わると、「暑い」と集会所の窓が開けられました。


　レク・ダンスにも挑戦しました。星さんが簡単な振り付けを一通り説明したあと、音楽に合わせて身体を動かしました。しちがはまレク協会の支援活動は、ストレッチやダンベルを使った体操を共通のアクティビティとして、あとはゲームや歌、折り紙、クラフトなど、会員それぞれが得意なことをします。リコーダーの伴奏に合わせて体操といった楽しそうな組み合わせや、クリスマス会でケーキのデコレーションをしたり、ハンドベルで「キラキラ星」をやったところ、子どもがピアニカを持ってきて一緒に演奏したこともありました。


　この日は、プラスチック製の輪を床に並べ「けんけんぱ」もしました。「ある日突然、これができなくなっていることがわかったのよ。びっくりするわ」と一人の方が言うと、「避難所の時はもっとしっかり歩いていたのに、あっという間に足腰が弱くなってしまって」と話す方。そんな様子に気づき、この遊びを入れました。


「気持ちは跳ねたいんだけど、どうしても飛べない」という方に、「無理しないで、歩いて、歩いて、パッでいいですよ」と舘岡さん。最後に、輪を二列に並べて、照井さんの足の運びと同じように動かす“脳トレ”ゲームに挑戦。運動不足を感じたみなさんが、「毎日（この活動が）あるといいんだよね」と話していました。


　身体を動かした後はお茶飲みの時間です。舘岡さんが自家栽培の野菜でキンピラや佃煮をつくってきました。参加者の方も甘く煮たイチジクを持ってきてくれました。お話の中では、「震災前は毎日坂を上ったり歩いていたのに」、「家の中でも２階に上がったり、掃除に30分くらいかかったり」と震災前の生活を振り返り、「今（仮設住宅）は、動かない生活になった」、「足腰が弱くなるのは早い」といった変化が話されました。
被災した昨年３月11日の様子も話されました。２回目の津波が大きかったこと。低い場所にあった避難所から高台に逃げたこと。高台から今まで築いてきた家財が流されていく様子を見たこと。その時の潮の音が耳について離れない方もいました。
「今まで夢中でやってきたけど、今からが大変」、「ここ（仮設住宅）から出ていくためにも、元気でいないとね」と参加者のみなさん。最後に、「こういう時間が楽しみ」、「いろんな話しができる」と、しちがはまレク協会の活動を楽しみにしていることを話してくださいました。


　舘岡さんたちも、詳しく被災の時の話しを聞くことはなかったと言います。被災から一年が経過し、「気持ちが和らいたり、心を切りかえているのでは」と舘岡さんたちは感じています。同じ会員で支援活動に関わる梅津美保子さん、小野寺幸子さん、峯田日出香さんたちも、笑顔が増え、ダンベル体操にも頑張って取り組む姿から、「気持ちに余裕が出てきて、これからのことを考えているように感じる」と話してくれました。


　しちがはまレク協会のこうした健康づくりを支援する活動は、仮設住宅だけでなく地域の公民館にも広がりはじめ、活動を担う新しいリーダーも育っています。また、支援を行っていない仮設住宅や男性高齢者の健康づくりについても、「ノルディック・ウォーキングのイベントから始めてみようか」と話し合っています。