福島第一原子力発電所の事故により計画的避難区域となった飯舘村。福島県レクリエーション協会は、その飯舘村の住民が暮らす相馬市大野台第６応急仮設住宅を、昨年８月から毎月訪問しています。

飯舘村の住民が住む大野台第６仮設住宅

　４月15日、福島県レク協会と福祉レクネットワークinふくしまのボランティア・スタッフが集会所に集まりました。早速、斎藤公子さんが、住民のみなさんを迎え入れるためのお茶とコーヒーの準備をし始めました。この日は、レクリエーション・コーディネーターの資格をこの３月に取った佐藤由佳さん、引地陽子さん、渡辺広美さんが、支援活動をリードすることになり、集会所の隅で「声を出して、笑ってもらって、身体を動かすには」と、プログラムの打合せをしています。

　午後１時15分くらいから住民の方々が集まりはじめます。福島県レク協会の支援活動は、ゆったりとお茶飲み話から始まります。ずいぶんと顔馴染みになった石渡弘美さんが、最近の様子などを尋ねると、他のボランティア・グループ等の支援活動が無くなってしまったことがわかりました。そして、今は福島県レク協会の活動を「毎月楽しみにしています」と歓迎されました。

　今日は23人の方が集まりました。最初は渡辺さんの言葉遊びと、手を前に出す時にグーとパーを入れかえる遊びです。渡辺さんは、グーとチョキやパーとチョキ、昔のチョキと今のチョキなど、左右の指の入れかえを難しくしていきます。毎回こうした遊びをやっているのですが、間違ったり、戸惑います。それが可笑しさを一層大きくして、みなさんの大きな笑い声が響きました。そして、「お腹の運動をしているみたいだ」とも。

　2番手は佐藤さんです。最初に「春が来た」をみんなで歌い、次に肩たたきをつけていきます。みなさんも慣れたもので、自然に２番に入っていきました。次に、左右８回、４回･･･と、たたく回数を変え、最後は隣の人の肩をたたきました。身体が温まってきて、上着を脱ぎ始めると、「見ててみ、段々裸になってくっから」と冗談で笑いが起きます。

　引地さんは、円形をつくり、みなさんに一つずつお手玉を渡しました。カスタネットを叩く要領で、片手に載ったお手玉を掴み、隣の人の手に載せます。最初は「１、２」の合図でやっていましたが、自然と「春が来た」が始まりました。次は、「あんたがたどこさ」の「さ」の時にお手玉を動かします。最後の方になると「さ」が繰り返され、テンポについていけなかったり、慌ててお手玉を落とす人も。終わってみると、お手玉がない人や２つ持っている人もいて、また笑いを誘っていました。

　一息入れるために、後藤正子さんと鈴木喜美子さんがお茶とコーヒーを配り始めました。後藤さんも鈴木さんも相馬市に住むレクリエーションの公認指導者です。鈴木さんは浪江町から避難してきた被災者でもあります。お二人とも震災後、福島県レク協会や相馬市レク協会の支援活動を手伝い始めています。「みなさん待っていてくれて、とても嬉しいです」、「みなさん喜ばせ上手で、私たちが元気をもらっています」と話してくれました。

　休憩のあとは、新聞紙でエコバックづくりをしました。みなさん物づくりは好きなようで、黙々と作っていました。あっと言う間に２時間が過ぎ、「また来月ね」と声をかけ合いながら終わりました。

　８ヵ月が経った支援活動を振り返り、スタッフのみなさんは、「顔見知りにもなって、冗談も言い合えるようになった」、「歌の時も声が自然と出てくるようになった」と言います。そして、「『お母さん』ではなくて、そろそろお名前でも呼びたいね」と名札を用意するかどうか相談していました。

　福島県レク協会は、これまでの飯舘村仮設住宅、浪江町仮設住宅（福島市内）の他、二本松市安達運動場仮設住宅でも支援活動を始めています。また、他の支援団体やスポーツ普及団体の支援活動も受け入れており、来週4月21日（土）は、大阪府モラロジー協議会が浪江町仮設住宅でうどん打ちを行います。